看護師の仕事は、責任の重たい業務内容だけでなく、過酷な労働環境、女性社会での人間関係などの原因により様々な悩みを抱えやすいものです。
職場を辞めたい、変えたいと感じながら働き続ける人も少なくありません。
また、ライフステージの変化によって、まさに今、現在の働き方を見直さなければならない状況に置かれている看護師も多いことでしょう。
そこで、この記事では、看護師の主な転職理由と具体的な理由別の転職タイミングについて解説していきます。
該当する看護師の方はぜひ参考にしてみてくださいね。
それでは順番に見ていきましょう!
1 看護師が転職したいと感じる3つの理由
看護師が職場を辞めたいと思う理由は、新人看護師からベテラン看護師まで様々なものがあります。
また、その人が置かれているライフステージによっても様々でしょう。
まずは、看護師の転職のきっかけとなる3つのケースについて見ていきましょう。
1-1 給料が少ない・割に合わない
「看護師の給料」は一般的な会社勤めの方よりも比較的高額であることが知られていますよね。
とはいえ、自分たちが日々抱えている仕事量や責任の重さを考えてみた時、こんな給料ではやっていられない!と感じている看護師はかなり多いことでしょう。
しかも、高額な看護師の給料の実態は、過酷な夜勤や超過勤務に対する手当を加味してこそのものです。それらがなければ、基本給は一般的な会社員とほぼ同程度か、ひょっとするとそれ以下なんてことも・・・。
これに加え、看護師は、各経営側の事情によって昇給率が様々であるなどの理由から、昇給が難しい職業とも言われています。役職にでも就かない限り、なかなか給料が上がらないという実態があるのです!
私の経験から言っても、20代はこんなにたくさんもらえる!なんて思っていたのに、40代になって振り返ってみると、あまり20代の頃と金額が変わらないどころか、子供が生まれて時短で働くようになってからは、明らかに年収が低下したと感じました…。
1-2 人間関係によるトラブルやストレス
看護師の転職理由で最も多くみられるのが、やはり人間関係によるストレスでしょう。
人間関係のストレスは、患者さんとの関わりだけでなく、同僚や上司との関係でも発生します。
近年では、男性看護師もかなり増えてきましたが、やはり女性が多い職場であることには変わりがありません。
女性社会である看護師の職場は、人間関係に問題が起こると、職場の深刻ないじめに発展してしまうことも。
特に新人看護師の場合、一人前の看護師と同じように仕事ができるようになるには時間がかかるため、いじめのターゲットになりやすい傾向があります。
私自身も、新人看護師が厳しい指導を受けている場面をたびたび見てきました。看護師の仕事は命に関わるからこそ、先輩看護師も真剣な指導になりがちではあるのですが。
ただし、適切な指導の範囲を超えている場合は、転職など職場の変更を検討してみるのもオススメです。
1-3 夜勤などの厳しい勤務体制によるライフワークバランスの欠如
看護師の仕事において、他の職種と異なる最大のポイントは夜勤があるということです。
多くの病院では、365日24時間常に患者さんに対応しなければなりません。病院によって勤務体制が異なりますが、きついシフトになることもあり、年を重ねるごとに夜勤はつらくなります…。
私自身も、3交代の経験がありますが、特に辛いのは日勤終了後の夜勤です。日勤が終わって数時間後に夜勤に入ることになりますが、仕事前の仮眠はまともに取れないことがほとんどでした!
また、結婚や出産、介護などのライフステージの変化によって、現在の働き方を見直さなければならなくなるの時が来るのは、誰しもが必ずぶつかる壁でもあります。
看護師の主な転職理由が分かったところで、今度は、具体的な転職理由別にオススメの転職タイミングを説明していきます。
2 具体的転職理由別のおすすめ転職タイミング
2-1 結婚を機に転職する場合
看護師が結婚を機に転職する場合、
というのがおすすめの転職タイミングです。
理由として、子どもを早く授かりたいという希望がある場合は、1年間以上働かなければ、育児休業を取得できない可能性があるからです。
予定がない場合は、パートナーの引っ越しや住まいの希望で転職を検討しても良いでしょう。
2-2 出産や子育てを機に転職する場合
出産前から勤務していた職場であれば、出産後も単に復帰するだけだ、思われるかもしれません。
しかし、実際に育休後に復帰してみたら、職場の雰囲気がガラリと変わっていたり、新しい電子カルテなどのシステムが導入されていて、戸惑ってしまったということもあるようです。
また、子育てが始まると、生活スタイルが一変します。
それまでの生活とは違い、生まれたばかりの赤ちゃんの世話は定期的な授乳や夜泣きのほか、病気などの突発的な出来事も多くなり、生活が不規則になりがちです。
育児休暇が明ければ、保育園への送り迎えが始まります。自宅と保育園と職場を行き来することになるため、どこの保育園に入園させることなるのかが、働き方に大きな影響を及ぼします。
保育園が職場から遠いと、そもそもお迎えの時間に間に合わないということもあるでしょう。急な病気の時にも、すぐに駆けつけることが難しくなります。
子供が小学校に入学すれば、さらに状況は差し迫ってきます。いわゆる「小1の壁」です。
以下の記事で、看護師ママが直面する「小1の壁」について詳しく解説していますので、ぜひあわせてお読みください。
これらのような場合は、子供の生活状況を十分に踏まえ、職場で活用することのできる制度も最大限利用しつつ、自分が何を優先するのかを見つめなおすことが必要になります。
その選択肢のひとつとして転職を考えるということもありえます。
このように、実際に子育てが始まってライフスタイルに大きな変化が生じ、子育ての大変さを実感したタイミングで転職を考えるようになる、というケースは多いのです。
2-3 キャリアアップを目指して転職する場合
職場の研修・教育体制に不満があって転職する場合や、キャリアアップを目指して転職する場合には、スタンダードに4月入職の転職がオススメです。
4月は一般的な採用時期でもあるため、1年を通じて中途採用でもしっかりとした研修・教育を受けることが可能です。
また、近年、クリニカルラダーを採用している病院は多くなってきており、その更新時期が4月からとなる場合が多いのも理由のひとつです。
日本看護協会では、今後すべての医療機関、介護系機関などでの取り組みを進めようとしています。クリニカルラダーの取り組みが進んでいない医療機関へ転職する場合であっても、「前職でクリニカルラダーに取り組んでいた」という経験は大きなアピールポイントになるでしょう。
2-4 職場への不満などネガティブな理由で転職したい場合
職場への不満などのネガティブな転職理由とは、具体的には次のような理由です。
この場合の転職のベストタイミングは、その不満や辛さに耐えられなくなる前だと思います。
不満やネガティブな気持ちに押しつぶされてから転職活動を行うと、前向きな気持ちで転職活動を進めていくことができず、失敗する傾向が高くなるからです。
2-5 劣悪な労働環境が転職理由の場合
前項と少し重なる部分もありますが、長時間労働や未払い残業代があるなどの劣悪な労働環境に置かれている場合、転職のベストタイミングは、「今すぐ」となります。
また、各種ハラスメントを受けている場合も、年齢、経験年数に関係なく、今すぐに転職活動を行いましょう。
精神的な苦痛に耐えていると、体調を崩してしまったり、仕事中にアクシデント・インシデントを起ここす要因にもなります。
そのため、現在の勤務先のことなど気にせず、働きながら今すぐ転職を行うべきでしょう。
2-6 その他漠然と看護師転職を考えている場合
「何となく転職したいな」と思っている場合などは、実は、転職するタイミングではないのかもしれません。
しかし、心の中に転職への希望が芽生えている、ということは事実でもあります。
「自分の市場価値」を見つめなおしたり、「職場の情報収集」を行うことで、今が本当に転職するタイミングなのかどうか判断することもできるかもしれません。
看護師転職サイトなどもうまく利用し、担当者から求人の提案を受けてみるというのも手段のひとつでしょう。
求人情報と現在の職場を照らし合わせながら、転職するタイミングを見極めたいですね。
3 まとめ:意見と提案
看護師として働いている人の中には、何となく現在の職場でうまくいっていない部分があり、漠然と転職を考えている人もいるかもしれません。
看護師は引く手あまたの職業なので、選り好みしなければ転職自体が難しいことはないでしょう。
しかし、これまで見てきたとおり、転職理由が転職タイミングに大きく関係してくることから、看護師が転職を成功させるには、転職理由を明確にすることがとても大切なのです。
そして転職したい理由を明確にした上で、目的に合った職場探しをすることが大切です。
以下の記事で、看護師の転職成功に向けた準備の仕方や転職活動を始める時期について詳しくまとめていますので、ぜひあわせてお読みください。
記事内で紹介した内容を参考に、皆さんにとって本当に希望どおりの転職先が見つかることを祈っています。